「ECサイト構築を検討している」
「ECサイト構築の方法が分からない」
コロナ禍で今までより更にECサイトの構築に注目が集まっています。ECサイトはWebサイト上にシステムがあれば、そこで物の売買ができるのが魅力です。
しかし、なかにはECサイトの担当者に突然任命され、構築方法が分からない、ECサイト初心者で困っているという方も多いでしょう。
本記事では、ECサイトの基本的な構築方法から手順まで詳しく、かつわかりやすく解説していきます。
ECサイトの構築方法
ASP型(無料・有料)
ASP型とは、ECサイト構築と運営に必要なシステムをクラウド上でレンタルして利用できる、ECサイトの基本的な構築方法です。
有名なところでいえば、BASEなどがASPにあたります。
カスタマイズ性は低いですが、だれでも簡単にECサイトの構築ができるので、初心者の方でも手を出しやすい方法になります。
メリット | デメリット |
コストを抑えやすい短期間でECサイトの構築が可能 | カスタマイズ性が低い自由度が低い |
オープンソース型
オープンソース型とは、無償で公開されているソースコードで利用して、カートシステムを構築する方法です。
無償で公開されているものを自由にカスタマイズできるので、ASPに比べて自社の基幹システムに合わせやすいのが魅力です。
その反面、カスタマイズにはある程度のプログラミング技術が必要であったり、セキュリティ対策を別途で行う必要性があります。すべてセットで低価格で利用をしたいという方はASPの利用をお勧めします。
メリット | デメリット |
低コストで構築可能カスタマイズ性が高い | プログラミング知識が必要十分なセキュリティ対策が必要サポート体制がない |
パッケージ型
パッケージ型とは、あらかじめパッケージ化されたシステムをもとに、顧客に合わせてベンダーがECサイトを個別に構築する方法です。
自社の基幹システムと連携ができ、カスタマイズが自由自在な一方、コストが高いのがデメリットになります。事業計画を引いた上で、年間の利益が1億円を超えそうなどの場合を除けば、ほとんどの場合がASPの利用で事足ります。
メリット | デメリット |
カスタマイズ性が高いサポート体制がしっかりしているセキュリティリスクに強い | コストが高い |
フルスクラッチ型
フルスクラッチ型とは、まっさらな状態からECサイトを構築する方法です。ゼロから構築するため、自由度がとにかく高いことが特徴です。その一方で必要な技術は高く、また運営開始までに時間がかかります。
ゼロから構築しているため、PDCAを比較的速く回せるため、スピード感を持ったEC運営が可能です。
メリット | デメリット |
カスタマイズ性が高い自由に開発できる | 高い技術が必要コストと時間がかかる |
ECサイト構築までの手順
構築したいサイトのイメージを具体的にする
まずは、どのようなECサイトを構築したいのかイメージを具体的にすることが大切です。
例えば、
- ECサイトの規模感
- どのようなEC運営を行うのか
- ターゲット層
などを明確にすると、予算やスケジュール、構築方法などの選定もスムーズにできます。
予算・スケジュールを決める
ECサイトを構築する前に、必ず決めておきたいのが予算とスケジュールです。
どれだけコストや時間がかけられるかだけでなく、どのくらいのリソースを割くべきなのか、会社や個人として注力すべきなのかによっても、予算やスケジュールは変わってくるはずです。
実際、個人でECサイトを構築する場合や、低予算で行う場合などはASPを利用すると低コストかつスムーズにサイト構築ができます。
構築方法・サービスを比較・選定する
構築したいECサイトのイメージと予算が決定したら、ECサイトの構築方法を検討します。決定したイメージと予算をもとに、以下のポイントを比較していきましょう。
- コスト
- 機能面
- セキュリティ
- ベンダーのサポート体制
コスト
予算と比較し、ECサイトの構築方法を決定していきます。
ECサイト構築方法 | 初期費用 | 継続費用(決済手数料・月額費用など) |
ASP型(無料・有料) | 無料〜低 | 低〜中 |
オープンソース型 | 低 | 低 |
パッケージ型 | 中 | 中 |
フルスクラッチ型 | 高 | 高 |
ASPは無料型と有料型があり、初期費用継続費用どちらも低コストに利用できますが、自由にカスタマイズが可能な構築方法である、パッケージ型やフルスクラッチ型になってくると、料金も高額になります。
オープンソースは、費用が安く利用できる一方で、セキュリティ面に心配があるため、多くの場合はASPを選ぶのがおすすめです。
ただ、カスタマイズ性が高い構築方法を選びたい、EC運営のPDCAを素早く回したいという方は、パッケージ型やフルスクラッチ型を選びましょう。
機能面
ECサイトを構築するに当たって、どのような機能が必要なのかを考える必要があります。
例えば、カスタマイズができるか、自社でプログラミングすることが可能かなど、構築方法によって全く違ってきます。例えば、ASP型よりもパッケージ型の方が機能面が充実しており、自由度の高いECサイトの構築が可能です。
色々とカスタマイズをしたいという方はASPよりも、カスタマイズが自由にできる構築方法を選ぶとよいでしょう。
セキュリティ
ECサイト運営において、セキュリティ対策は重要な観点です。
特に近年ではクレジットカード情報漏洩事故なども多数発生しています。個人情報に関連する事故があった場合には、多額の調査費用がかかったり、ECサイトの閉鎖を余儀なくされる可能性もゼロではありません。
サービス選定する際には、どのようなセキュリティ対策が行われているのかをシステム面、サポート面などから多角的にチェックしましょう。
提供会社のサポート体制
ECサイトを運営するにあたり、ECの提供会社のサポート体制も重要になってきます。売上金額が大きくなるほどサポート体制は重要です。
提供会社はどこまでサポートしてくれるのか、また、提供会社のリソース状況がどうなのかなども確認しておくと安心です。
ECサイトを構築・運営において、提供会社との信頼関係はEC事業の大きな鍵にもなります。
各サービス別のECサイト構築の手順
ASP型の場合
ASP型でECサイトを構築する場合、以下の手順で行います。
- ショップの作成
- ECサイト内のデザインを作り込む
- 決済関連の申請・設定
- 発送関連の設定
- 商品登録・管理
- 特定商取引法に基づく表示
基本的にはショップ作成から順を追って行なえば、だれでもECサイトが構築できるほど簡単です。
また、細かいデザインなどを外部の制作会社に依頼する場合でもASPに対応している企業が複数あるというのも魅力でしょう。
ただ、デザイン等が出来上がる前に、必ず商品の建付けを終わらせ、登録業務などがスムーズに行えるよう注意が必要です。
オープンソース型・パッケージ型・フルスクラッチ型の場合
オープンソース型・パッケージ型・フルスクラッチ型でECサイトを構築する場合、ASP型とは異なり、しっかりと要件定義を行なって上で開発をしなければなりません。
自由度高くカスタマイズができるため、あらかじめ綿密な設計を立てなければならないからです。
- 要件定義
- 設計
- 開発
- テスト
- 必要に応じて修正とテストを繰り返す
コストも時間もかかる方法なので、スケジュール作成時には注意が必要です。ECサイトの制作にお金をかけられないという方や、とりあえず作ってみたいが売上をECサイトに頼るつもりはないという場合はASPの活用で十分です。
とにかくコストを抑えてECサイトを構築するならASPがおすすめ
とにかく費用を抑えてECサイトを構築するのであれば、ASPを利用するのがおすすめです。
完全無料で利用できる「無料ASP」を利用すれば、商品が売れた際にかかる決済手数料のみで運営することができます。
一方、ドメイン名を自由に選択できなかったり、数値分析の機能が足りない可能性もあるので、注意が必要です。
無料ASPから有料ASPへの乗り換えはできない
無料ASPで注意しておきたいのは、無料ASPでECサイトを構築すると、有料ASPに変更したいと思っても、同じドメインが利用できないという点です。
無料で始められるのは魅力的ですが、将来的に有料版を利用する可能性が少しでもあるのであれば、最初からコストをかけて有料版を利用しておくのがおすすめです。
ECサイト構築に関するQ&A
Q.ASPの中でもより良い構築方法を選ぶにはどのように比較したらよいですか?
より、自社に合ったECサイトの構築方法を選ぶなら、事前に事業計画を作成し予算を決定したうえで、下記をポイントにして比較するのがおすすめです。
- 本格的に運用をするのか
- どのくらいのリソースを割くことができるのか
- 現状自社(自分)に専門知識やノウハウはあるのか
- 将来的にどこまで大きくするのか
ASPおすすめ構築サービスの例
- カラーミーショップ
- STORES
- SQUAREオンラインビジネス
- リピートPLUS
- Shopify
- BASE
- おちゃのこネット
Q.一番早く出店できるプラットフォームが知りたいです。
手っ取り早く出店をしたいのであれば、ASPを選ぶのがおすすめです。
ASPは手軽にネットショップを始められるため、企業だけでなく個人、主婦などが利用するケースも増えています。
Q.いいベンダーの見分け方が分かりません。
ECサイト構築にあたり、良いベンダーを見分けるには下記をポイントにしてみましょう。
- 制作事例は豊富か
- 自社の求める機能やデザインが実装できそうか
- 初期費用やランニングコストは妥当か
- サポート体制はしっかりしているか
- セキュリティ対策に問題がないか
制作事例が複数ある場合は、実際にサイトを訪れてみて、使いやすいサイトかどうかを確認してみるのがおすすめです。ASPの場合はとにかく利用者が多くサポート体制が希薄な可能性もあるので、注意して確認してみるようにしましょう。
Q.ECサイト構築は、本を見て勉強したほうが良いですか?
本を読んで勉強することも可能です。しかし、EC業界のトレンドの移り変わりは速く、本が出版されるまでの工程に、トレンドが変わる可能性もあります。
時代やトレンドにあったECサイトを構築するのであればWeb上でノウハウを収集するのが手っ取り早いです。
Q.プログラミング技術がないのですが、どうしたらよいでしょうか。
ECサイトの構築は、プログラミング技術がなくてもできるサービスもあります。
ASPなど、すでにテンプレートがあるものであれば、簡単に構築が可能です。
しかし、カスタマイズを行う場合などはプログラミング技術が必要になる可能性もあるのであらかじめ必要機能がそろった構築サービスを選ぶとよいでしょう。
【まとめ】自社にあったECサイト構築を行おう
ECサイトの構築方法は以下の4つです。
- ASP型(無料・有料)
- オープンソース型
- パッケージ型
- フルスクラッチ型
上から順にコストが高くなっていき、それに連動するような形でカスタマイズ性も高くなっていきます。
かんたんに始めたい、なるべくコストを抑えたい、向こう三年間の事業計画を引いた上で、年間の利益が1億円を超えなさそうだという場合はASPの利用で十分です。
構築したいECサイトがどのようなもので、どこまでの予算や時間があり、どれだけの機能やカスタマイズ性が必要なのかをしっかりと見極めるようにしましょう。