仕入れ管理とは、見積もり・発注・入庫・検品・支払いなど仕入れに関する一連の業務です。販売管理の起点となる重要な業務ですが、知らないことも意外に多いのではないでしょうか。適切な仕入れ管理ができていないネットショップも少なくありません。
この記事では主にネットショップ経営者に向け、仕入れ管理とは何か、管理のポイント、業務効率化のツールなどについて解説します。ネットショップ経営の参考にしてください。
仕入れ管理とは何か？
そもそも「仕入れ管理」とは何を意味するのでしょうか。定義や目的、業務内容などを解説します。
仕入れ管理は仕入れに関する業務全般
仕入れ管理とは、物の仕入れに関連した業務全般のことです。ネットショップのような小売業では、商品を販売するための仕入れに関連した業務全般を指します。製造業の場合は商品を製造するために部品や材料の仕入れを行いますが、仕入れ業務全般を意味する点では同じです。
混同しやすい用語に仕入れ管理と購買管理があります。購買の場合、必ずしも販売を目的として物を入手するとは限らないことが大きな違いです。たとえば広告のための看板を購入することやメンテナンス工具を購入することは、仕入れではありません。
仕入れ管理の目的
仕入れ管理の目的は業務の効率化もありますが、最終的には在庫不足や在庫余りを少なくして、キャッシュフローをよくすることです。そのため、仕入れ管理の担当者は単に商品を補充するのではなく、販売や在庫管理までトータルで考えて仕入れを行うことが重要になります。
仕入れ管理の5つの要素
仕入れ管理を適切に行うための基本要素は以下の5つです。
・ニーズがある商品か
店舗で売れる商品を仕入れます。
・販売先
在庫管理の場所や輸送コストなどを考えて仕入先が変わるため
事前に決定します。
・仕入れのタイミング
売れるまでの期間を短くするには仕入れのタイミングも重要です。
周期性がある商品なら過去の注文書や販売履歴などを調べます。
・仕入れの数量
在庫状況や売れ行きなどを考慮し必要な数量を仕入れます。
額が大きい場合は財務状況を出金伝票などで確認することも必要です。
・仕入れ価格
十分な利益が見込める価格で仕入れを行います。
仕入れ管理のプロセス
ここでは、仕入れ管理のプロセスを、見積もり依頼から支払いまでの流れに沿って解説します。
見積もり依頼
仕入先が提示する商品価格が変動した場合は、ロット数や納期などの条件を提示して見積もりを依頼します。また、初めて取引を行う仕入先でも見積もり依頼を行います。
購買契約
価格や納期などで合意した場合、購買契約を行います。小売業では安定した仕入れが可能か、今後も同じ価格で仕入れを行えるかどうかも重要です。このプロセスにおいては仕入れ担当者に交渉スキルが求められることもあります。
発注
発注業務では発注番号・納品先・納期・商品・金額などを記入した注文書を作成します。近年では仕入れ管理を効率化することや取引をスピーディーに完結するために、電子書類が用いられることも増えてきています。
入庫、検品
仕入れ先から商品が納品されたら、入庫する前に検品作業を行います。型番や数量などの基本的な確認はもちろん、商品の種類によっては品質やコンディションのチェックも必要です。入庫する際は仕入れ伝票を発行して、後から照合できるように管理します。
支払い
振込業務や出金伝票の作成、支払い予定の記入などを行います。ロット数が少ない場合や同じ仕入先からさまざまな商品を仕入れる場合、まとめて支払えないか交渉することもあります。
ネットショップ経営者向け仕入れ管理の基本
ネットショップを経営する際には、どのようなことに注意して仕入れ管理を行えばよいのでしょうか。2つのポイントを解説します。
販売と仕入れはセットで考える
仕入れ管理は販売管理の一部です。在庫数や競合他社の販売価格などを把握しなければ、適正な仕入れ管理はできません。
仕入れの管理者には商品回転率、利益率などマーケティングの知識も必要です。しかし、小規模の事業者の場合、知識や方法を十分把握しておらず、基本的な仕入れ管理ができていないケースが少なくありません。対策としては、ツールによって業務のサポートを受けることが有効です。
随時仕入れ・大量仕入れなど仕入れ方法を使い分ける
販売状況や在庫状況といった自社のショップの状況や、市場動向や時期などの外部要因によって、仕入れ方法を使い分けることが重要です。大量仕入れや随時仕入れ、共同仕入れ、集中仕入れを適切に選択することで、収益は大きく変わるでしょう。
仕入れ価格が安くする方法のひとつが大量仕入れとなりますが、取引のない仕入先や海外業者ではリスクが高いので慎重に行いましょう。
仕入れ管理で課題になりやすいこと
ここでは、ネットショップ経営における仕入れ管理で課題になりやすい事柄を解説します。
仕入れ管理の精度を上げようとするほど負担が増える
複数の仕入先を比較検討することで、安く仕入れられる可能性は高まります。しかし、頻繁に仕入れ作業を行うことが多いネットショップ経営では、業務負担が増大する傾向にあります。
特に多店舗経営を行っており、各ECモールにおける競合他社の価格推移などを確認しながらの仕入れの場合、業務が複雑になることに悩む経営者は少なくありません。作業効率が悪く工数・コストがかかり、収益に影響を及ぼすこともあります。
発注ミス
小規模な事業者のなかには紙やエクセルへの手入力で仕入れ管理している場合も少なくありません。しかし、手作業が多い管理方法では発注ミスが起きやすいことが特徴です。在庫数が正確に把握できていないと、仕入れ管理だけでは済まない大きなトラブルにつながることもあります。
仕入れタイミングを逃す
販売、在庫と仕入れのデータが同期していないと、タイミングよく仕入れることはできません。在庫リスクが高まる他、売上を伸ばすビジネスチャンスを逃しやすくなってしまいます。実際、繁忙期や商品ヒット時に仕入れ管理がスムーズに連動できず、利益を伸ばせない課題を抱えているショップが多くあります。
仕入れ管理システムを構築するには
ここでは、仕入れ管理の課題を解決できる仕入れ管理システムを構築する方法として、エクセルと販売管理ツールによる2つの方法を解説します。
エクセルの関数やマクロ機能を使った仕入れ管理
単一のショップや販売数が少ないショップなら、エクセルで関数やマクロ機能を使って仕入れ管理をある程度自動化できます。発注ミスを防ぎ、販売と仕入れを連動させることもできるでしょう。インターネットには無料でダウンロードできる仕入れ管理用のテンプレートもあります。
販売管理ツールによる仕入れ管理
ショップを大きくしていきたい場合や、複数店舗経営を行いたいなら、ツールの導入は必須になります。仕入れ管理のみならず在庫管理や販売管理まで連携したツールも提供されており、効率的な経営を実現できます。ツール導入のメリットは、エクセルに比べて多機能で自動化されている業務が多く、ミスを減らし仕入れのタイミングを逃しにくいことです。
ECモールから最安値の販売価格や人気ランキングなどの情報を自動取得する必要がある場合には、ECモールから公式に許可を受けているツールかどうかチェックしましょう。
まとめ
仕入れ管理とは、物の仕入れに関連した業務全般のことです。適正な仕入れ管理を行うには、在庫や売上の状況に応じて、できるだけ安い価格で仕入れることが重要です。また、ショップの規模を大きくするには業務負担を軽減し、販売と仕入れを連動できるツールの導入が必須です。
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