現在、EC業界で高い関心を集めているライブコマース。
一般的なECサイトと比較して視聴者が商品を購入する率が高く魅力的ですが、新しい販売形態のため、販売側も購入者側も最低限の法律知識を抑えておくと安心です。
この記事では、過去話題になったライブコマース
ライブコマースには大きく2種類
ライブコマースには大きく2種類あります。
配信するパターンによって、視聴者(顧客、ユーザー)が契約(売買の取引)する相手(売主)が異なりますので、注意が必要です。
メーカーや販売代理店が配信するパターン
メーカーや販売代理店が配信するパターンの場合、視聴者が契約するのはもちろん配信者であるメーカーや代理店です。
インフルエンサーが配信するパターン
インフルエンサーが配信するパターンの場合、下記2つの契約相手のパターンがあります。
- 「インフルエンサーが商品を仕入れて転売」―契約相手はインフルエンサー
- インフルエンサーがメーカーなどから委託を受けて販売―インフルエンサーは契約相手ではなく、紹介者となる。
また、インフルエンサーを使ってライブコマースを配信する場合は、複数の人間が関わる形になるため、下記をしっかりとおさえておきます。
- 誰と誰が契約するのか
- そもそも契約者は誰になるのか
この二つをしっかりおさえていないと、意図せず自分が契約上の責任を追う可能性もあるので、注意が必要です。
ライブコマースで転売するのは禁止?
2021年11月13・14日に開催された「デザインフェスタvol.54」において、ライブコマースを使い、購入者をライブで募った転売目的の人間が現れました。
出店者にとっては売れるという利点はありますが、在庫を根こそぎ購入される、ブースを長時間占領し、他の人が近づきにくくなるなど迷惑行為も散見されました。
また、コロナ禍での開催で、マスクを外して大声でしゃべることに注意を促すも、言葉が通じないなど出品者が困った行為が多数あったようです。
購入した商品をライブコマースで転売することを禁止する法律はありませんが、上記のような迷惑行為はライブコマースという手法自体の印象を著しく損なうため、避けるべきでしょう。
ニュース記事:グループで在庫を爆買? 2年ぶりのコミケ開催で危惧される「ライブコマース問題」とは
ライブコマースで注意するべき法律
現在、ライブコマースに特化した法律はありません。しかし、現状の法律下でライブコマースに関して守らなければならない法律は3つあります。順番に確認していきましょう。
- 特定商取引法
- 景品表示法
- 民法
特定商取引法
特定商取引法では、「広告表示」と「返品」に注意が必要です。
「広告表示」については、第11条でEC事業における、広告表示の義務、必要がある事項について触れています。
また、「返品」については、消費者保護の為のキャンセル、返品を求められる制度があります。第15条の3において、いかなる理由でも、商品が届いて8日間以内なら送料を消費者負担で返品できるという制度です。
景品表示法
景品表示法では「優良誤認表示・有利誤認表示」に注意が必要です。
具体的に言うと、商品、サービスの品質、内容や価格等を偽って表示をするのを規制しています。また景品の最高額を制限し、消費者が合理的に商品を選べる取引にするための法律です。
景品表示法の第5条に明記されています。
民法
民法は、2020年4月に改定されたことにより、新たに第562条で「契約不適合責任」という売主側の責任が定められました。
売られた商品が、種類・品質が契約内容と違っていたり、数量が不足していることを「契約不適合」と言い、このような場合、売主が買主に対し責任を負うことについての制度です。
参考:民法第562条 – 買主の追完請求権 | 金子総合法律事務所
【まとめ】法律を守ってライブコマース行おう
市場としては、これからどんどん需要が高まるライブコマース。
この機会に販路拡大のチャンスを失わないためにも、守るべき法律をしっかりおさえてスタートしましょう!