日本では浸透しづらいと言われているライブコマースですが、ライブコマースを活用して効果を挙げている企業も出てきています。
この記事では、ライブコマースの仕組みやメリット、そして日本企業の成功例を挙げていきます!
ライブコマースの仕組みとは?
まず、ライブコマースとは「ECサイト+ライブ配信」と双方を組み合わせた新しいオンライン販売方法です。ライブ配信で動画を流し、ユーザーの購買意欲を刺激します。
リアルタイムで配信し、コメント機能を使って消費者の質問にその場で答えていくなど、ECのみでは難しかった接客を提供できる仕組みです。
企業がライブコマースを行うメリット
日本企業も続々参入している、ライブコマース市場。
企業が参入するということは、メリットが多数あるということです。
具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
臨場感による購買意欲の促進
やはり、リアルタイムの配信というところは大きいでしょう。
数年前から消費に対し、体験価値に重きを置く「コト消費」の需要が高まっています。
生配信ならではの予想がつかないドキドキ感も魅力の一つです。また、開発者や生産者が配信する場合は商品への思いや魅力が伝わりやすく、その熱意がコンテンツとしても楽しく、好感度上昇にも繋がります。
広告宣伝費用が抑えられる
基本的に商品を販売するには、費用の多くを宣伝費用にまわす必要があります。
ですが、ライブコマースを使用する場合、下記の方法で通常より安く、広告費用のみで大きな結果を得られます。
- 人気インフルエンサーを使う(すでに顧客を囲い込んでいるため)
- 主要ライブコマースプラットフォームが宣伝ルートをすでにシステム化済み
顧客の不安感をその場で解消できる
ネット上での買い物に抵抗を感じる人は一定数存在します。ライブコマースの場合、ECでは不安視された商品を手に取れないことに対し、配信者が手に取って感想を言ったり、使用している様子を動画で観れます。
最大の利点として、チャットでその場で質問できるため、実店舗でスタッフに聞くのと同じ感覚で買い物ができ、ECを懸念するユーザーにも参加しやすいポイントとなるでしょう。
ライブコマースの成功事例
広告費用を抑えたり、消費者側もリアルタイムにチャットで質問できるなど様々なメリットがある、ライブコマース。
企業の成功事例を見ていきましょう。
アパレル
アパレル企業としては、今や世界企業となっているユニクロを筆頭に、セレクトショップの台頭が目立ちます。
ユニクロ
ユニクロはライブコマースを、2020年「UNIQLO LIVE STATION」としてスタートさせました。
内容は、著名人がコーディネートのポイントなどをライブで解説。商品の魅力を紹介しながら、質問にも答えていきます。また、消費者は気に入った商品をその流れのままアプリ、ECショップでダイレクトに購入できる点もポイントです。
ベイクルーズ
アパレルはサイズや形を把握するのが難しいですが、ベイクルーズでは予告バナーでスタッフの身長を表示。より分かりやすい情報を提示しながら配信を工夫してきました。
また、インスタグラムを活用し、ライブコマース配信で言ったキーワードをDMすると、抽選でプレゼントが当たる企画などもあり、多くの顧客を得ています。
SHIPS
SHIPSは、2020年5月から「SHIPS SHOPPING TV」をスタート。
SHIPSの特徴は、自社のみでなく他社ブランドを取り入れたコーディネートを提案しました。結果、30-40代の女性より絶大な支持を得ました。
BEAMS
若年層からの厚い支持があるBEAMSは、2020年3月にライブコマースをスタート。
ライブ配信中に商品を購入可能なだけでなく、トークなどライブ自体も楽しんでもらえるようコンテンツとして作りこまれているところが特徴です。
コスメ
海外でも人気のある日本のコスメブランドもライブコマースに参戦しています。
成功している2つの企業の事例を見ていきましょう。
資生堂
資生堂は、中国でのライブコマース経験を活かして、ライブコマースをスタート。
内容は。ビューティーコンサルタントやメイクアップアーティストという専門家が、化粧品やメイク方法を紹介しながら、視聴者の質問に答えていきます。
「専門家たちの具体的で的確なアドバイスを受けられる」と、幅広い世代の女性が視聴しています。
ファンケル
ファンケルは、コロナの影響により、顧客の店舗利用制限、外国人観光客が入国できない事態に直面し、ライブコマースをスタート。
ライブ配信において、「販売を第一目標」にせず、顧客とのコミュニケーションを意識して制作し、「商品紹介」についてより理解を深める内容になっています。
その他
アパレル、コスメ業界以外でもライブコマースに参戦している企業があります。
その例を見ていきましょう。
三越伊勢丹
百貨店事業の三越伊勢丹は2019年にライブコマースをスタート。2020年6月に視聴者が3万人を越えました。
初回配信では、お中元選びのヒントとして、ゲストが試飲をしながら感想を言う形式でした。「贈り物をするのに迷っていたけど楽しく選べる」などコメントが寄せられています。
ミツカン
ミツカンは事業拡大のため中国向けライブコマースをスタート。
配信では、中国のインフルエンサー「KOL」を起用。そのお陰もあり、中国では無名の商品と思えないくらい注文が殺到し、月間販売数6,000個を越えました。
スワロフスキー
クリスタルガラスのブランド「スワロフスキー」。スワロフスキーでは、複数のユーザーに向けてライブ配信するのではなく、一対一でオンライン接客します。
他のライブコマースとは少し異なった形ですが、世の中の変化として今後需要が増えそうな販売形態です。
ヤーマン
美容機器販売のヤーマンは、中国のECサイトで週に3回、ライブコマースで配信しており、日本でもそのノウハウを活かしています。
ヤーマンは「HandsUP(ハンズアップ)」という配信サービスを利用し、ライブを観ながらヤーマンのオンラインサイトへ行き、すぐ商品購入ができるページになっています。
ライブコマースの市場規模
ライブコマースは、中国を筆頭に世界の様々な国で市場を拡大させていっています。
日本も例外でなく、その国々の一つです。それに伴い、日本国内でも認知度が高まってきています。
日本のライブコマース市場
日本では、ライブコマースは2017年ごろより浸透し、現在はまだそこまで普及していません。
マクロミルと翔泳社が全国の15歳-49歳の男女を対象に調査を実施。2019年時点で、言葉自体の認知度としては、「内容も含めてよく知っている」「聞いたことはあるが内容までは知らない」と回答した人が合計で30%にも満たない結果でした。配信を観たことある人も20%程度で、商品購入をした人は3.3%とまだまだ成長段階と言えます。
参考:ライブコマースの動向整理
中国のライブコマース市場
中国では、ライブコマースにて商品購入が当たり前となっています。
会計事務所デトロイトによると、2018年時点で44億ドル、前年比132%成長しています。
毎日4,000以上のアカウントが15万時間以上のコンテンツを配信。
中国での大手ECモール「タオバオ」ももちろん導入済で、その他のECモール、「天猫」や「京東」もすでに対応しています。
【まとめ】ライブコマースで失敗しないためには成功事例から学ぼう!
2020年コロナ流行をきっかけに、ライブコマースは、実店舗販売する企業・ブランドにもさらなる活路となるでしょう。
ライブコマースのメリットを加味し、そして日本国内企業でも成功事例を自身の企業・ブランドそして商材などに当てはめながらより良い形でライブコマースをスタートさせましょう!