中国では、ライブコマースが人気になっています。この記事では、中国におけるライブコマースの広がりに興味をもっている人に向けて、中国のライブコマースの現状や市場規模の推移について解説します。中国でライブコマースが盛り上がっている理由を確認し、自社でのライブコマースの活用について検討するために役立ててください。
ライブコマースとは?
Eコマースとライブ配信を融合して商品を販売するスタイルをライブコマースといいます。映像によってリアルなイメージや使用感を伝えられるため、視聴者に興味をもってもらいやすいというメリットがあります。視聴者は商品について気になることがあれば、コメントを通して配信者に質問することも可能です。
また、ライブ配信を見ている視聴者は、インターネットを通じてその場で商品を購入できます。「買いたい」という意欲が高まったところで、すぐに購入の手続きを行えるのがライブコマースの最大のポイントと言えるでしょう。
ライブコマースの種類は主に2つ
ライブコマースは、EC店舗中心型とインフルエンサー型の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
EC店舗中心型
自社の商品を社員や芸能人などによるライブ配信で紹介して販売する方法です。EC店舗などを通してある程度のファンを獲得している場合、ライブコマースに着手するのが他社より遅れても一定の効果を期待できます。そのため、今後のライブコマース市場でさらに盛り上がっていく可能性が高いです。
ちなみに、中国にはEC店舗中心型のライブコマースを実践するための代行サービスや育成サービスなどもあります。
インフルエンサー型
高い影響力をもっているインフルエンサーを起用し、ライブ配信により商品を紹介してもらう方法です。EC店舗中心型とは違い、さまざまなメーカーやブランドの商品を紹介します。
インフルエンサー型のライブコマースでは、衣類や雑貨だけでなく、家や車などさまざまなものが売れていきます。高額商品でも、人気のあるインフルエンサーが紹介すればすぐに売れるケースが多いです。
中国ではライブコマースが盛り上がっている
中国でライブコマースに注目が集まり始めたのは、2016年頃からで毎日4,000以上の配信が行われるようになっています。複数のプラットフォームが存在し、視聴者からの注目度も高くなっています。そのため、さまざまな商品がライブコマースを通して売れるようになってきました。
市場規模は近いうちに1.5兆円に到達するとの予測が立てられており、今後ますます発展していく可能性が高いです。
大手企業のCEOもライブコマースに注目している
中国では、大手企業のCEOもライブコマースを活用しています。
例えば、中国国内の旅行会社の最大手であるCtripでは、CEO自らライブコマースを行いました。結果、わずか5回の配信で9億円以上の旅行関連商品の販売に成功しています。CEOが自らコスプレをするという工夫が話題をよびました。
中国でライブコマースが活発な理由とは
中国では、なぜライブコマースが人気なのでしょうか。ここでは、中国でライブコマースが活発な理由を解説します。
強力なインフルエンサーがいる
中国で影響力をもつインフルエンサーは、KOLとよばれています。KOLとは「Key Opinion Leader」の略であり、中国で主要なSNSであるWeiboで大きな力を持っています。KOLには中国国内に何十万人ものフォロワーがいるため、インフルエンサーマーケティングに必要不可欠な存在です。
中国ではもともと商品に対する信用が低く、信頼をおけるKOLが推奨する商品が売れやすいという傾向があります。
大手ECサイトによってサポートされている
中国の大手ECサイトである「タオバオ」も、ライブコマースによる商品販売を後押ししています。事実、タオバオは中国のEC市場の約8割のシェアを占めています。タオバオのサポートにより中国国内のECサイトにおけるライブコマースの活用が進み、大きな盛り上がりにつながりました。
日本ではまだ広がり始めたばかりのライブコマース
ライブコマースは中国で盛んになっているものの、日本ではまだ導入されたばかりの段階です。ライブコマース自体に興味を持っている人が閲覧したことがあるという状況にとどまっているでしょう。
とは言え、日本国内ではライブ配信機能が着実に広がっています。2021年現在は、中国ほどライブコマースが浸透しているわけではありませんが、今後爆発的に広まる可能性は高いでしょう。
視聴経験率は19%
調査会社のマクロミルによると、ライブ配信を視聴した経験がある人は調査対象者の約19%にとどまっています。また、そのなかでも実際に商品を購入したことがある人は、わずか約3.3%だけです。日本におけるライブコマースの伸び代は、多くあることが伺えます。
使用を検討している人は24%
同調査で、これからライブコマースの使用を検討している人は調査対象者のうち約24%いることがとわかっています。一方、ライブコマースを使用したくないという人の割合は、約39%です。否定的な回答が多いのは、ライブコマースに関するくわしい情報がまだ広まっていないからだと考えられます。
日本でライブコマースの普及が緩やかな理由は?
日本でライブコマースが普及しにくい理由としては、中国ほど強力なインフルエンサーが存在しないことがあげられます。日本にもインフルエンサーはいますが、取り上げた商品が次々に売れるほど力がある配信者は少ないと言えるでしょう。
また、中国とは違い、日本のECサイトや商品はもともと信用が高いです。そのため、わざわざライブコマースを視聴しなくても、欲しい商品を自分で見つけて購入する人が多い状況となっています。
今後日本でもライブコマースが盛り上がると言われる理由は?
2021年現在、日本ではライブコマースがそれほど普及していません。しかし、今後は日本でもライブコマースが盛り上がるといわれています。ここでは、その理由について解説します。
リアルタイムで消費者にアプローチできるから
前述の通り、ライブコマースではライブ配信により、消費者とリアルタイムにやり取りできます。コミュニケーションを相互に取れるため、商品の魅力をしっかりと伝えやすいです。
商品によってはライブ配信を通して使い方を説明することで、興味を強めてもらえる可能性もあります。相手や販売場所を選ばずにアプローチできるため、効率的に宣伝できる点に期待がよせられています。
消費者が抱える不安を解消できるから
ライブ配信を見ている消費者は、途中で商品に対する疑問点を配信者へ質問できます。消費者が不安に思う部分もライブ配信の映像を通して説明できるので、安心してもらえる可能性が高いです。
また、他の消費者と配信者のやり取りを見ているうちに、消費者の疑問が解決するケースもあります。商品に対するマイナス感情を解消できれば、購入しようという意識をもってもらいやすくなるでしょう。
5Gの時代に移行するから
5G(第5世代移動通信システム)は、4Gに比べて通信速度が速いです。一般的に普及すれば、動画もよりスムーズに視聴できる環境が整います。日本国内では2020年から5Gのサービスが始まっており、これから浸透していく段階です。5Gの時代になれば、ライブコマースもより気軽に実施できるようになって商品の販促に活用しやすくなるでしょう。
まとめ
中国ではライブコマースの人気が高く、さまざまな商品の販売に役立てられています。日本ではまだ取り入れられたばかりですが、今後は少しずつ普及していく可能性があります。Eコマースに取り組むうえでは、ライブコマースにも注目しておくといいでしょう。
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