動画配信を通して、消費者とリアルタイムにコミュニケーションをとりながら、商品の販売ができるのがライブコマースの魅力です。
この新しい販売スタイルをすでに取り入れている企業の事例には、どのようなものがあるのでしょうか。記事では、ライブコマースの概要や日本での導入事例、導入までの流れを詳しく紹介していきます。
自社でライブコマースを利用する際に、参考にしてみてください。
そもそもライブコマースとは?
ライブコマースとは、動画配信とECサイトを融合させた仕組みのことです。動画配信で視聴者とのリアルタイムなやりとりができ、ECサイトの商品ページに自然につなげられます。ライブコマースを導入すれば、広告と販売をまとめてできるようになるのがポイントです。
ライブコマースの特徴について、以下で詳しく解説していきます。
閲覧から購入までの導線がスムーズ
ライブコマースは、ライブ配信を見た消費者が気に入った商品のECサイトにすぐにアクセスできる仕組みになっています。そのため、動画閲覧から購入までの導線が非常にスムーズです。
ECサイトで消費者自身がページを回遊して商品を購入する場合よりも、サイトページからの離脱率が低く抑えられます。
消費者とコミュニケーションが取れる
ライブ配信中は、チャット機能などを通して配信者と視聴者がリアルタイムでコミュニケーションを取れます。
この機能をうまく活用すれば、消費者の中には「○○さん(配信者)だから購入したい」という思いをもつ人も出てきます。
現物を見ずに購入する不安感が少なくすむ
ライブコマースでは、商品が手元に届かないとわからないような詳細情報も確認ができます。
ECサイトでは画像でしか商品を確認できませんが、ライブ配信では洋服の質感やサイズ感などをその場で配信者に質問できます。そのため、視聴者は現物がよくわらないまま購入するといった不安感が少なくすむのが特徴です。
日本におけるライブコマースの現状
中国では、2015年頃からライブコマースが爆発的に広がりました。一方、日本では2017年頃から、徐々に知られている段階です。マクロミルの調査によると、日本国内のライブコマースの認知率は約30%にとどまるものの、一度ライブコマースを利用した人の約85%は「もう一度利用したい」と考えています。
新しい生活様式の広がりも相まって、日本でもライブコマースが流行する可能性も十分考えられるでしょう。
参考:中国における市場規模は?
日本ではまだそこまで認知度が高くないライブコマースですが、中国での人気はとても高く、オンラインの販売方法として、すでにスタンダードとなっています。
中国では、毎日4,000以上のライブコマースが配信されており、世界的に見ても大規模なライブコマース市場を有していると言えます。
日本でライブコマースが注目される理由は?
日本でも広がり始めているライブコマースですが、注目される理由を以下で解説していきます。
ユーザーに受け入れてもらいやすい
ライブコマースの魅力の1つは、配信者と視聴者の間でリアルタイムなやりとりが楽しめることです。
配信者がライブ中に視聴者からの質問やコメントに応えたり、視聴者の名前を呼びかけたりなどのコミュニケーションが実現します。このライブ特有の臨場感が消費者に評価される可能性があるでしょう。
ライブ動画自体がトレンド
動画のライブ配信自体の人気高まっていることも、ライブコマースが広がる理由と言えます。
事実、FacebookやInstagramでもライブ配信機能が新たに追加されるなど、ライブ動画自体が、トレンドであって注目を浴びていると考えらえます。
海外ではすでに成功
前述した通り、ライブコマースは中国では爆発的に広がって成功しています。中には、億単位の収入をライブコマースから得ている人もいます。この成功例を参考に、日本でも中国に続いて、ライブコマースが浸透することが予想できるでしょう。
ライブコマースを利用するメリット
ライブコマースは、リアルタイムで視聴者とコミュニケーションを取れます。商品を見せながらその場で視聴者からの質問やコメントに答えることで、文字だけではわかりづらい情報も伝えられます。対面で接客するように、消費者と話せるのがポイントです。
ライブコマースを利用するデメリット
一方、ライブコマースは、消費者に視聴してもらえるようにあらかじめ十分な告知が必要です。SNSなどを活用した告知が手間になる場合もあります。
また、商品のアピールに適した撮影環境の用意も必要不可欠です。魅力的に商品を紹介するための空間の準備は、それなりにコストや手間がかかるでしょう。
ライブコマースに成功した企業の事例を紹介
日本では、どんな企業がライブコマースに取り組んでいるのでしょうか。ライブコマースに成功した5つの企業の事例を、以下で紹介します。
資生堂
化粧品の製造・販売を主に行っている資生堂は、2020年7月からライブコマースの利用を開始しました。
実は、資生堂はこれよりも前に中国でライブコマースによるサービスを展開しています。ビューティーコンサルタントが動画を通して、商品の使い方や特徴を実演で説明する配信でした。その場で消費者から寄せられる質問やコメントに対応しながら、現地の自社ECサイトの売り上げを伸ばしています。
三越伊勢丹
大手百貨店の三越伊勢丹がライブコマースの配信サービスに取り組んだのは、2018年です。
ライブ配信では、お歳暮などのギフト商品を中心に、パッケージの華やかさや商品のストーリー、老舗食品メーカーのこだわりなどを伝えました。視聴者からは多くのコメントや質問が寄せられ、大反響を呼ぶ結果になりました。
また、ECサイトでは、ライブコマースの甲斐あって過去最高のオンライン売り上げを達成します。
SHIPS
大人向けのファッションアイテムを取り扱うセレクトショップのSHIPSは、2020年5月からライブコマース配信による販売を開始しています。
配信では、ショップのスタッフが商品の魅力やコーディネートを解説しました。視聴者からは質問やコメントが寄せられ、多くの好意的な反応がありました。
ショップスタッフが動画配信することで、対面で接客しているようなコミュニケーションが実現します。消費者は、まるで店舗で買い物をしているかような臨場感を得られるのがポイントです。
BEAMS
海外ブランドやオリジナルブランドによるアパレルや雑貨を販売しているセレクトショップのBEAMSが、ライブコマース配信を実施したのは2020年3月です。
配信では、メンズ向けにスーツやジャケットスタイルに合うアイテムを取り上げました。また、2人の自社ディレクターが、首元にこだわったイチオシのコーディネイトやネクタイ・シャツなどの商品ポイントを紹介しました。
1時間で6000人以上の視聴者が集まるほど好評だったようです。加えて、ECサイトでは100万円弱の売上を達成して、話題となりました。
土屋鞄製造所
レザーバッグで有名な老舗の鞄屋である土屋鞄製作所では、2020年3月19日〜3月31日の期間限定でライブコマースを活用した配信を行いました。
配信では、ランドセルに関する講座を3回にわたって実施しました。ランドセルは、小学校に入学を控える子どもたちへの必需品です。しかし、新型コロナウイルスの影響で店へ購入に行きたくても、外出が難しい状況だったこともあり、配信を見て購入した消費者が多くいました。
ライブコマースを利用する前に検討すべきことを説明
実際にライブコマースの配信サービスを利用する前に、検討しておくべきことを解説していきます。
販売する商品を決める
まずは、ライブコマースで販売する商品を決めます。ただし、配信広告に向いている商品と、そうでない商品があるので、知っておくと良いでしょう。
売れやすい商品には、服やコスメ、家電など、見栄えのするものや、トレンドの移り変わりの早いものがあります。逆に、売りにくい商品としては、年齢層の高い人にむけた商品や健康食品があります。
出演者を決める
動画配信の出演者には、自社社員を起用するか外部のインフルエンサーなどに依頼をすることが一般的です。
出演者を決める際は、ライブコマースをどのような方向性で実施したいかによって決定します。例えば、深い商品知識をもとにアピールしたい場合は社員、特定の消費者層にアプローチするならネット上の影響力があるインフルエンサーを起用すると良いでしょう。
適切な配信頻度を検討する
配信の頻度は、適切に設定して実施しましょう。よく設定される頻度としては、週に1回の配信ペースが多いです。
配信頻度が増えると企業の負担が増えて大変になってしまいます。しかし、月に1回だと、配信を心待ちにしている消費者にとっては少し物足りなく感じる可能性があります。
配信後はデータを元に徹底分析する
配信が終わったら、視聴者数や売れた商品・売れなかった商品の確認を行います。購入件数などのデータを集めて、それを元に徹底分析することが大切です。
配信中、消費者から届くたくさんの感想や疑問などのコメントに対しては、できるだけその場で確認してすぐに応えましょう。もし、確認しきれないものがあれば、配信後に必ず目を通します。
コメントの内容や配信によって得たデータを分析することで、次回以降の配信の改善や商品開発に活かせます。
魅力的なライブ配信にするコツは?
動画配信によって配信者と消費者の間で、リアルタイムなコミュニケーションをとれることがライブコマースの最大の特徴です。魅力的なライブ配信にするためには、このライブコマースの特徴を生かして、配信者と消費者のつながりを作っていくことが重要です。
消費者が楽しめるライブ配信にすることで、商品の売上が伸びていく可能性があります。「消費者が求める配信」を徹底的に分析することが大切です。
まとめ
日本での認知度はまだそこまで高くないライブコマースですが、うまく利用して、商品の売り上げを伸ばしている企業もあります。ここでは、そんな企業の事例を紹介してきました。ぜひ自社でも活用を始めてみてください。
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