クラウドファンディングの市場規模は、急成長を遂げています。なかには、ネットショップの出店費用をクラウドファンディングで募る人も少なくありません。手軽に資金調達を行える反面、さまざまなトラブルも頻発しています。この記事では、クラウドファンディングを検討中の人に向けて、クラウドファンディングのトラブル例とその対策、注意点などを解説します。
クラウドファンディングは歴史が浅い資金調達法
インターネットの普及により、ネット上でも資金調達が行えるようになりました。クラウドファンディングは、2001年にアメリカでクラウドファンディングのプラットフォームが誕生したことがその始まりです。日本では、2011年からクラウドファンディングが開始されたばかりで、アメリカと比べても歴史が浅いことがわかります。
急上昇していたクラウドファンディングの市場規模は低下しつつある
日本クラウドファンディング協会は、2017年~2019年のクラウドファンディングの市場規模の推移を調査した結果を公表しています。購入型は、2017年は77億円でしたが、2019年では169億円にまで市場規模が拡大しました。
一方、融資型・不動産特定共同事業法に基づき運営される不特法型は、2017年に1,316億円、2018年には1,777億円と増加傾向にありましたが、2019年には1,152億円にまで落ち込みました。2017年よりも市場規模が縮小しています。株式型も同様に、2017年は3億7,000万円で、2018年には9億円にまで拡大しましたが、2019年には5億6,000万円にまで減少しています。
購入型が増加傾向にあるなか、融資型や株式型の市場規模が減少傾向にあるのはなぜでしょうか。要因のひとつとして、クラウドファンディングにおけるトラブルが挙げられます。
※参考:クラウドファンディング市場調査報告書|一般社団法人 日本クラウドファンディング協会
クラウドファンディングの種類やそのリスク
クラウドファンディングには、おもに購入型、寄付型、融資型、投資型などの種類があります。ここでは、代表的な4種類の特徴やリスクについて解説します。
購入型
購入型は、クラウドファンディングのなかでも、幅広い用途で利用されています。支援者から支援金を受け取り、商品やサービスをリターンします。購入型では、これらのリターンの内容に不満がある、支援者の手元に届くまでに時間がかかるなどのトラブルが多いです。
寄付型
寄付型は、支援者から支援金を受け取っても、リターンを返す必要がありません。あくまでも、一般的な募金や寄付と同じです。プロジェクトは、ボランティア活動の支援からビジネス用途などのさまざまな目的で利用されています。寄付型では、資金調達後のプロジェクトの進捗や対応などをめぐるトラブルが多いです。
融資型
融資型は、金融機関などが行う貸付に似ています。支援者から受け取った支援金を元手にして、企業への融資を行うタイプのクラウドファンディングです。融資先から受け取った返済金の一部を支援者にリターンとして支払います。融資型では、貸し倒れが発生するリスクがあります。
投資型
投資型は、支援者から受け取った支援金を元金として、投資を行うタイプのクラウドファンディングです。株式投資に似た特徴があり、株式型とファンド型に分かれています。支援者へのリターンは、投資によって得た利益や分配金などです。投資型では、リターンの金額の少なさから支援者の不満につながり、トラブルに発展するケースが多いです。
クラウドファンディングで起こりがちなトラブル例と対策
クラウドファンディングを検討する際、どのようなトラブルが多いのか、把握しておく必要があります。ここでは、トラブル例と起案者側、支援者側の双方の対策について解説します。
リターンにまつわるトラブル例と双方の対策
クラウドファンディングは、リターンにまつわるトラブルが多いです。購入型では、商品が支援者の手元に届かない、輸送中に破損しているなどの問題も起きています。とくに、商品開発プロジェクトでは、発送の遅延が起きるケースも少なくありません。投資型では、分配金や利益がないうえに、元本割れになるといったトラブルがあります。
起案者側
起案者は、支援金に見合ったリターンを設定したうえで、支援者が理解しやすいように詳細を記載しておきましょう。とくに、配送期間や遅延の可能性についても明記しておきます。また、破損などのトラブルを防ぐためには、輸送中の補償を検討する必要があります。
支援者側
配送スケジュールは、あくまでも目安の期間であると認識しておかなければなりません。商品の破損によるトラブルを避けるためには、輸送中の補償があるプロジェクトを選びましょう。投資型に支援をするなら、分散投資でリスクを最小限に抑えるといった対策が必要です。
コミュニケーション不足によるトラブルと双方の対策
起案者と支援者との間でコミュニケーションが不足した場合にもトラブルが発生しやすいです。たとえば、起案者がプロジェクトの進捗を伝えないために、その不明瞭さが「詐欺に遭った」と支援者に思わせてしまいます。詐欺だと感じた支援者がSNSなどで訴えることで、起案者に対する中傷につながる場合があります。
起案者側
起案者は、支援者に対して進捗状況を定期的に報告する必要があります。プロジェクトページに近況を掲載したり、FAQや問い合わせ先などを設置したりして、支援者とのコミュニケーションを欠かさないようにしましょう。
支援者側
支援先を決める際は、プロジェクトの内容にしっかりと目を通しておくことが大切です。疑問や不明な点がある場合は、支援を決める前に質問しておきましょう。その際の対応の仕方が誠実であるかも、プロジェクトを選ぶ目安になります。
起案者・サイト運営会社の破綻によるトラブルと支援者側の対策
クラウドファンディングの運用で日本の約10年先を行くアメリカでは、資金調達後に起案者やサイト運営会社が破綻するトラブルが起きています。日本では、破綻するなどの情報は公表されていません。しかし、市場規模の拡大や普及によって、アメリカと同じケースが起こることが予想されています。
起案者やサイト運営会社が破綻すれば、支援金が返金されない可能性が高いです。支援者が破綻によるトラブルに巻き込まれないようにするには、事前の情報収集が欠かせません。目標金額が未達になった場合の返金の有無を確認しておく必要があります。投資型なら、担保や補償があるサイトを選びましょう。
特許・著作権にまつわるトラブルと起案者側の対策
クラウドファンディングを活用した場合、プロジェクトの公開によって第三者にアイデアや技術などをそっくりそのまま盗まれるリスクがあります。とくに、デザイン関連のものを扱う場合は注意が必要です。
一方、第三者から「特許や著作権を侵害している」と訴えられる可能性もあります。トラブルが起きてからでは遅いため、あらかじめ特許や著作権に関する法律について理解を深めておきましょう。また、特許の専門家に相談できる、特許関連のサービスなどがあるサイトの利用もおすすめです。
風評被害と起案者側の対策
プロジェクトの運営や支援者への対応の仕方によって、風評被害につながるケースも少なくありません。とくに、目的を明確にせずに伝えた内容が誤解を招くことがあります。また、何の理由もなく、ネット上で批判されるリスクも高まります。
批判から炎上につながらないよう、起案者は誤解を招かないための対策が必要です。たとえば、プロジェクトの目的を誰もが目に入りやすい場所に記載しておく、目的を達成する真剣度をしっかりと伝えるなどを実施しましょう。
クラウドファンディングを利用する際の注意点
クラウドファンディングを利用するにあたって、起案者、支援者がそれぞれ注意すべきことを解説します。
起案者側
プロジェクトを公開すれば、誰もが自由に閲覧できるようになります。起案者は、不特定多数の人の目に触れることを意識しなければなりません。一度公開したら削除はできないため、記載内容に誤りや誤解を招く表現がないかを確認しておく必要もあります。
ネット上で悪評が広まると、削除依頼をしても拡散された情報のすべては消せません。不特定多数の人のなかには、支援や応援をしてくれる人がいる反面、理由もなく批判をしてくる人もいることを理解しておきましょう。
支援者側
支援者側が詐欺やトラブルに巻き込まれないようにするには、信頼できるサイトやプロジェクトを見極める必要があります。起案者のなかには、詐欺目的でプロジェクトを立ち上げる人も存在します。支援するプロジェクトの内容にもよりますが、原則的に支援をしたらキャンセルはできません。
とくに、投資型では、リターンがなかった場合でも自己責任とされるケースが多いため、万が一に備えたリスク分散を考えておきましょう。
クラウドファンディングを利用しないネットショップの出店方法
クラウドファンディングにはネット上で資金調達を行える手軽さがありますが、そのぶんリスクも伴います。ネットショップの出店費用を安く抑える方法は他にもあるため、さまざまな選択肢を検討しましょう。
たとえば、ネットショップ運営に必要な機能を搭載するといった、サポート体制が充実しているサービスなどもあります。また、ECサイトの作成費用を安く抑えられる一元管理システムを導入する方法もおすすめです。
まとめ
ネットショップの開業資金の支援目的でクラウドファンディングを活用する場合、上述したようなトラブルやリスクへの対策が必要です。リスクを負うよりも、なるべくコストを抑えてネットショップを出店できる方法を検討しましょう。
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