近年、DtoCという言葉をよく耳にするようになりました。
「DtoCって最近よく聞くけど、BtoCやBtoBと何が違うの?」
「なんでDtoCって注目されてるの?」
と思っている方も多いかもしれません。
この記事では、今注目を集めているDtoCについてしっかりと理解していただくために、DtoCの意味、他のビジネスモデルとの違い、DtoCが注目されている理由、DtoCのメリット・デメリット、DtoC導入時のポイントや国内・海外での成功事例をまとめて紹介します!
EC事業に関わる方や、最新のビジネス動向にキャッチアップしたい方はぜひご一読ください!
DtoCとは
端的に説明すると、「商品メーカーが直接消費者に販売する」スタイルで、いわゆる直販型の販売モデルを意味します。
ECにおけるDtoCは、インターネットを用いてメーカー→消費者と販売する事業形態がそれに当たります。
「そもそもECとは?」という方は以下の記事を参照ください。
企業が企画や開発、営業戦略や販売まですべてを管理しつつ、直接ユーザーに商品を届けることができるという点で、様々なメリット・デメリットがありますが、アメリカでは既に流行っているビジネスモデルで、今注目を集めているビジネスモデルと言えるでしょう。
DtoCの意味
DtoCとは「Direct to consumer」の頭文字です。
- Direct – 直接
- consumer – 消費者・使い方
従来の商流では、メーカー→商社→小売店→消費者というフローで商品が届いていましたが、ここを短縮し、メーガーが直接消費者に商品を届けるフローがDtoCです。
「直販」であればDtoCになりますので、例えば農家が自分たちで収穫した野菜を直接消費者に販売するのもDtoCということになります。
ただ、昨今主流の販売方法はオフラインではなく、ECを通したオンライン販売が基本ですので、当記事ではECを通した販売をベースに解説していきます。
DtoCとSPA、BtoCの違い
DtoCと似た言葉(意味)に「SPA」「BtoC」があるので、そちらについても説明します。
SPAは「speciality store retailer of private label apparel」の頭文字で、小売業者が製造まで対応し、ユーザーへ販売を行う形態です。ユニクロやGAPなどのアパレル会社が取り入れているビジネスモデルで、実店舗での販売も含めた営業を展開していることが、DtoCとの大きな違いになります。
BtoCは「Business to Consumerの」の頭文字で、企業(Business)が消費者(Consumer)にビジネスを行う形態を意味します。スーパーや量販店など実店舗で直接販売する場合や、Amazonなどのインターネットプラットフォームを経由させて消費者に商品を販売する小売事業がBtoCに当てはまります。
- 商品製造から消費者に届くまでに仲介業者が入っている
- 販売する企業は基本的に自社で商品を製造していない
この2点がDtoCとの大きな違いになります。
DtoCの現状
DtoCの販売手段として基本となっているECの市場は、拡大し続けています。
米国においても、日本同様 DtoC(Direct to Consumer)による販売手法が注目をあびている。2019 年の EC による DtoC の売上高は 142.8 億 US ドルであり、前年比 33.1%の大幅な増加を見せている。今後も 15%を上回る成長が予測されており、2022 年には 245.2 億US ドルに達する見込みである。
令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる 国際経済調査事業
実店舗販売をメインで行なっていた企業においては、コロナ禍の影響で客足が遠のき、苦しい状況が続いています。売上規模の小さいスタートアップ企業であれば、商材が有形の場合、売り場を探すのにも苦労するでしょう。
そんな状況を打破する手段として、自社でECサイトを立ち上げ、製造から販売までを一気通貫で行うDtoCは、今の時代にマッチしたビジネスモデルとも言えるでしょう。
DtoCが注目されている背景
ここではDtoCが注目されている背景を具体的に紹介していきます。
ASPカートの普及
一般的には自社でECサイトを構築するとなると、莫大な費用と時間がかかります。
しかし、最近では専門的な知識がなくてもECサイトを簡単に構築できるサービス「ASPカート」が普及してきています。
ASPとは「Application Service Provider」の略で、ECサイト構築に必要な機能が揃ったクラウド上のプラットフォームを利用してサイトを構築する方法です。
日本では「BASE」や「STORES」などが有名ですが、世界シェア1位の「Shopify」の勢いも凄まじいものがあります。
ASPカートを用いることで、エンジニアなどの専門知識がある業者に頼らずとも、少ない費用と時間で手軽にECサイトを構築できるため、DtoCに着手するハードルも低くなってきています。
顧客との接触チャネルの増加
SNSが多くの人に利用されるようになり、消費者は検索エンジンよりもSNSで情報収集するケースが増えました。
企業もSNSを運用することで、顧客と手軽に接点を持つことができるようになっていることもあり、ECサイトへの導線も作りやすくなっています。
モノ消費からコト消費への変化
最近耳にすることが多くなってきた言葉ですが、こちらは商品のスペックや値段ではなく、体験やストーリーを消費するという消費傾向を表現しています。
DtoC最大の特徴である製造企業の「想い」を直接消費者に届けることができるという点は、「コト消費」の考え方が増加している昨今のニーズにマッチしています。
消費者のニーズの変化をキャッチし、直接販売戦略に反映できるという点において、DtoCというビジネスモデルが注目を集めている理由でしょう。
DtoC導入のメリット・デメリット
DtoCが今勢いのあるビジネスモデルであるということを触れてきましたが、ここでは具体的なメリット・デメリットについて紹介していきます。
メリット① 顧客とのコミュニケーションの強化
DtoCが注目されている背景でも触れましたが、SNSなどを活用することで、企業が持つコミュニケーションチャネルからダイレクトに顧客とコミュニケーションがとれるようになりました。
SNSを活用することで、消費者にとっても近い距離から商品の魅力をストレートに伝えられることで、企業のブランディングも行いやすくなります。
メリット② 利益率の向上
製造から消費者に商品が届くまで、仲介業者を介さないことがDtoCの最大の特徴です。
これにより自社内で販売ルートが完結することから、中間のマージンが発生しなくなり、従来の商流と比較すると利益率の向上が見込めます。
メリット③ 顧客情報の収集
自社のECサイトで販売することで、購入した消費者の情報を収集することができます。
Amazonなどの用意されたプラットフォームではとれないような細かい購買行動まで知ることができるため、新規や既存顧客へより効果的な営業戦略を立てることができるようになります。
デメリット① EC構築・運用のコストがかかる
自社でECサイトを持つということは、サイトの制作(構築)時にコストがかかります。
また、作る時だけでなく、サーバー代やドメイン代など維持するだけでも発生するコストはあります。
運営補助を外注する場合、そこに人件費なども必要になることは意識しなければなりません。
デメリット② Webマーケティングの知識が必要
DtoCは上手く運営できれば非常に効果的ですが、その分消費者へどのように自社商品を魅力的に届けるかの緻密なマーケティング戦略が重要です。
従来のオフライン販売とは異なり、Web上で販売するためのマーケティングには、SEOやSNSなど多岐に渡る知識が必要となります。
デメリット③ 人材育成が必要
DtoCはその特性上、企業がカバーするべき範囲が大きいため、その分運用に必要な知識も多岐に渡ります。
未経験者にはECサイトの扱い方から教育が必要ですし、商品販売における基礎知識研修が重要となります。
DtoC導入時のポイント
DtoCのビジネスモデルを運用し成功させるためには、戦略的に取り組む必要があります。
ここでは企業の中で考えるべきポイントを絞ってご紹介します。
マーケティング体制を整える
DtoCの運用で考えないといけないことは、集客だけではありません。
直接消費者と繋がれるDtoCのメリットを活かすためには、ファンになってもらうためのブランディングを強化することも必要です。
そのためにWebサイトのデザインやSNSでの魅せ方、購入者へのアフターフォロー方法、UGC(ユーザーが派生させるコンテンツ)を生み出す仕掛け作りなど、マーケティング施策を考えて実行できる体制を整えることが重要です。
商品力の強化
DtoCに限った話ではありませんが、自社ブランディングが重要となるセールスにおいて、商品力の強化は必要不可欠です。
消費者とのコミュニケーションを増加させ、フィードバックを柔軟に取り入れることで、商品力の強化に繋げることができます。
商品力が強化させることでUGCも増加し、結果的に売上もUPする好循環を生み出す体制をつくることができます。
DtoCの成功事例
ここまでDtoCについて説明してきましたが、ここでは実際にDtoCを取り入れ成功してきた企業をご紹介します。
企業ごとに戦略の違いはありますが、各社商品の強みをしっかりと考えて取り組まれた結果が出ているため、これからDtoCでのビジネスを検討されている企業も、ベンチマークとして参考にしていただければと思います。
国内のDtoC成功事例
BULK HOMME
BULK HOMME(バルクオム)は、メンズコスメブランドの販売をメインで行なっている企業です。
シンプルでおしゃれなパッケージをSNSで積極的にアピールし、有名人を起用したブランディングにも注力した結果、売上が順調に伸び、多くの人から注目されるブランドに成長しました。
BOTANIST
BOTANIST(ボタニスト)は、株式会社I-neが展開しているライフスタイルブランドで、価格<品質を重視したブランディング展開をしている化粧品販売の企業です。
Instagramでのプロモーションなど、デジタルマーケティングを主軸にECサイトでの販売実績を積んだうえで、実店舗での販売でも成功をおさめてきた企業です。
ALL YOURS
ALL YOURS(オールユアーズ)は、着飾るための服ではなく、着心地よく長く着れる服を届けるという思いで衣服を製造販売するアパレル企業です。
商品開発時に消費者参加を企画したり、消費者参加型のイベントを実施するなど、消費者と共にブランディングを作り上げる戦略で成功してきています。
海外の成功事例
allbirds
allbirdsは、設立からわずか2年で100万足以上を販売したアメリカのシューズ販売企業です。
自然素材を用いたスニーカーで、環境に優しいサスティナブルな商品づくりが、環境に対する考えを支持する消費者の心を掴み、協力なブランディングとして成功してきました。
Glossier
Glossierは、ファッション雑誌「VOGUE」での勤務経験をもつ人気ブロガーのエミリー・ワイズによるオリジナルのコスメブランドを販売するアメリカの企業です。
月間140万アクセスを獲得するブログ運営のノウハウを活かしつつ、Instagramでの情報発信にも力を入れていることで、消費者との接点作りながら商品販売実績を積み重ねています。
Casper
Casperはアメリカのマットレスブランドで、機能ではなく寝心地(体験)を徹底的に追求した1つのモデルに絞り込んだビジネスを展開しています。
インフルエンサーとタッグを組みSNSを用いたプロモーションを行なうなど、オンラインでの販売戦略を徹底し、創業から2年で約100億ドルの売上を達成しています。
試作品のデモに消費者を呼び、開発に生の声を取り入れるなど、消費者と共に商品力を強化させながらビジネスを拡大している企業です。
【まとめ】DtoC成功には社内体制の整備が必須!
DtoCに取り組めば、より効率的に商品の認知度や売上を向上させられる可能性があります。
- 顧客情報の収集から商品を強化できる
- 利益率の向上が見込める
- 商品のファンが作れる
成功するためにはさまざまな取り組みが必要にあるため、他のビジネスモデルと比較しても容易ではありません。細かい戦略をしっかりと練って着手していきましょう。
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