国内最大級のECモールとして注目度が高く、集客力も高い楽天市場は、法人だけでなく、個人事業主でも出店が可能です。
しかし、個人事業主として楽天市場に出店する際には、注意しなければいけない点もあります。
この記事では、個人事業主が楽天市場に出店する際の注意点や必要な費用などについて解説します。出店を検討している方は、参考にしてください。
楽天市場とは
楽天市場とは、楽天株式会社が運営しているECモールの1つで、国内最大級の流通規模を誇ります。会員数が多く、特に20~40代の女性ユーザーが多いことが特徴です。楽天市場では、ポイントアップなどのユーザーがお得に買い物できるイベントも頻繁に開催されているため、利用することにより収益アップが見込めるでしょう。
個人事業主でも楽天市場に出店は可能?
楽天市場での出店は、個人事業主でも可能なのかについて詳しく解説します。
楽天市場は出店審査が厳しい
楽天市場では、店舗に対してプロフェッショナルであることを求めており、ECモールの品質を保つために、ほかのモールと比較して審査が厳しい傾向にあります。中でも個人事業主の場合は、審査がより厳しくなりますが、出店することは可能です。
個人の副業は不可
楽天市場は、個人の転売や会社員などをしながらの副業は不可となっています。出店の際は、個人事業主として開業届や法人登記が必要になります。
出店審査に通る個人事業主とは
開業届を提出しているからといって、審査に通るわけではありません。例えば、開業したばかりでは、審査に通らないケースもあります。また、商品の写真や印鑑証明などの提出も求められます。
個人事業主が楽天市場に出店するときの注意点
楽天市場に出店する場合、個人事業主に対して注意してほしいことが2つあります。
必要書類を不備なく用意する
楽天市場の出店審査では、必要書類を提出しなければなりません。これらの書類を不備なく用意するようにしましょう。必要書類は以下の通りです。
- 出店申込書(Web申請)
- 審査書類(Web申請)
- 商材別誓約書、その他商材によって必要な申請書
- 取扱予定商材の販売に必要な営業許可・資格等の書類
- 商材の写真
- 印鑑証明書(印鑑登録済みの実印)
- 住民票
- 実店舗の写真
このように、申請には数々の書類が必要になります。住民票や印鑑証明書は、契約開始日より3カ月以内に発行されたものでなければいけません。また、Webでの申請の際に電話番号を入力しますが、この際の電話番号は固定電話でなければならないため、注意しましょう。
商品在庫を用意する
個人事業主の場合、実店舗がないケースもあります。その場合、商品の在庫と管理状況を明示することが求められます。在庫を確保し販売できることが重視されるため、商品在庫は十分に用意しましょう。
楽天市場出店のフローとは
楽天市場へ出店するには、はじめにWeb申し込みを行います。その後、書類を提出して審査を申し込むといった流れになります。出店審査には時間がかかるため、できるだけ余裕を持って申し込むとよいでしょう。
審査に通過できたら、ページを作成します。この際、商品の魅力が十分に伝わるようなページを作ることが重要です。
個人事業主が楽天市場出店後にすべきこと
楽天市場では、利用者からのレビューが重要です。特に出店したばかりの個人事業主の場合は、まだ利用者からの信頼が得られていません。レビューが増えることで、利用者は安心して買い物をすることができ、アクセス数のアップや収益につながります。
そのため、出店後には、レビューキャンペーンをしたり、販売後にフォローメールを送ったりするなどして、レビューを獲得することを意識しましょう。業務が忙しくてレビューの獲得まで出来ない、という場合は、ECショップの運営をサポートするツールを利用するのも有効です。
個人事業主が楽天市場に出店するメリット・デメリット
個人事業主が楽天市場に出店するメリットには何があるのでしょうか。楽天市場に出店するメリット・デメリットとして以下のようなことが挙げられます。
メリット
集客力がある
楽天市場に出店するメリットは、集客力が高いことです。年間流通総額は約4兆円、2019年4月の月間利用者数は4804万人です。国内のECモールの中でも、高いシェアを誇っています。集客力の高いECモールへ出店することで露出度が増え、売上獲得が期待できます。
老舗モールの安心感がある
ネットショッピングでは、「本当に信頼できるサイトかどうか」が重視されます。詐欺サイトなどがあることも事実なので、信頼のあるECモールは、ユーザーが安心して利用できます。楽天市場は歴史があり、認知度が高いECモールであるため、楽天市場に出店するだけで、信頼感を与えられるでしょう。
サポート体制が整っている
楽天市場は、サポート体制が充実していることも魅力の1つです。楽天市場では、専門のコンサルタントがついてフォローしてくれます。相談しながら店舗の運営ができるため、ネットショップに詳しくなくても安心です。また、「楽天大学」などで、マーケティングの知識を学ぶことも可能で、初心者でも安心して出店できます。
デメリット
他のモールと比較してコストがかかる
楽天市場は、AmazonやYahoo!ショッピングなどの他のECモールと比較すると、出店料や毎月かかるコストが高いです。およそ、2倍程度かかるため、コストを抑えたい人にはデメリットでしょう。ただし、スタートアップ企業向けのプランも用意されています。
新規参入の難易度が高い
楽天市場は歴史が長く、信頼性が高いことはメリットですが、その分新規参入のハードルは高いです。各ジャンルでの人気店が確立されており、取り扱いを考えている商品をすでに販売している店舗も多いでしょう。多くの競合店の中、新しく顧客を獲得するには知識が必要です。
事前審査が必要な商材がある
楽天市場では、取り扱い禁止商材や事前審査が必要な商材があります。そのため取り扱い商材に関する注意事項を、よく確認しましょう。
事前審査が必要な商材については、書類の提出が必要になるため、注意が必要です。事前審査が必要な商材は以下の通りです。
- 楽天市場指定ブランドメーカー品
- 産地・メーカーなどから購入者へ直送される商品
- 医薬品、医薬部外品、医療機器(コンタクトレンズを含む)
- 化粧品
- 健康食品
- PCソフトウェア
- 携帯電話等の携帯通信端末
- おせち料理
- 金券類
- 販売に際して免許等を必要とする商品(食品、酒類、中古品など)
個人事業主が楽天市場に出店するときにかかるコストはどれくらい?
個人事業主が楽天市場に出店する際には、どの程度のコストがかかるのでしょうか。詳しいコストについて解説します。
出店プランは選ぶことができる
楽天市場では、4つの出店プランがあります。店舗の規模などによって、自由に選べます。月商約132万円を超える場合には、「スタンダードプラン」を選ぶとよいでしょう。商品数がたくさんある、画像を多く使いたい場合には、容量を気にせず使える「メガショッププラン」が向いています。
個人事業主で、初めて楽天市場に出店する際には、コストを抑えながら運営できる「がんばれ!プラン」か、期間限定の「ライトプラン」がおすすめです。この2プランの場合、固定費を抑えながら出店できます。ただし、「ライトプラン」は3カ月の短期契約のため、結果が出にくい場合もあります。
費用の目安
「がんばれ!プラン」の場合、月額出店料は19,500円です。楽天市場では月ごとに支払うのではなく、12カ月分一括で支払うことになるため、年間の固定費は234,0000円になります。固定費とは別に、初期登録料として60,000円かかるため、294,000円の初期費用がかかります。また、月額費用シミュレーションで、固定費の試算が可能です。
ほかのショッピングモールの特徴を紹介
ここでは、楽天市場以外のショッピングモールの特徴を紹介していきます。
Amazon
Amazonは、個人事業主として開業届を出していない個人や副業でも出店が可能です。月額の固定費は4,900円と楽天市場よりも安く、出店審査は最長でも3日と時間がかかりません。そのため、気軽に出店できることが魅力です。
ただし、Amazonでは独自のシステムを採用しており、ネットショップのセオリーやマーケティングノウハウが通じない場合もあります。また、ページを独自に作成できないため、ショップの独自色を出すことは難しいでしょう。
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングの大きな特徴は、固定費・出店初期費用が無料なことです。そのため、初心者であっても出店しやすいでしょう。楽天市場と同様に、出店すれば専門のECコンサルタントからアドバイスを受けることが可能です。個人の場合、個人事業主のみが出店できます。
低コストでの出店が可能なため、出店店舗が非常に多いです。モール内の競争は楽天市場よりも厳しいため、選ばれる工夫が必要になります。集客力の面でも、楽天市場には劣ります。
メルカリ・BASE
メルカリ・BASEともに、ECモールとは異なります。メルカリはフリマアプリで、フリーマーケットに近いシステムです。誰でも出品できますが、長期的な販売には向いていません。
BASEは無料で作れるネットショップのことです。出店料は無料のため、誰でも気軽に出店できます。ただし、集客力は大手ECサイトには劣ります。基本的に、両社ともに気軽に出品したいときに向いている方法なので、長期的に売り上げを拡大したい場合には不向きです。
まとめ
楽天市場は、国内最大級のECモールです。知名度が高くユーザーも多いため、出店することで収益拡大が期待できるでしょう。審査は厳しいですが、個人事業主でも出店が可能です。在庫の確保や、必要書類を不足なく提出することなどを意識しましょう。